2006年10月02日

≪連作、月 “あとちょっと”≫

『本日の航海先・世田谷区、奥沢・O's nest・波届・風月』


田んぼから水が抜かれて、カエルの声が聞こえなくなった・・・・・。
そんな季節の話。

窓から入ってくる風が急に涼しくなり、寒くて目が覚めたらしい。
でもその子は、寝ぼけた頭で考えてる様子。窓を閉めるか、そのまま寝るか、
考えているのだろう。
それでも、決心したように窓に向かうその姿は、まるで芋虫のようだ。
極力寝たままで、動きたくないのだろう。
それでもなんとか半寝の状態で、いっぱいに手を伸ばせば窓に届く位置まで
動いてきた。無理やりにでも、その場から窓を閉めようとして、手を伸ばす。

その時、その子急に目を見開いた。
その伸ばした手の先に光るものが在った。頭を振り、目の焦点を急いで合わす男の子。
窓の隙間から見えるその光は、伸ばした手の指先に、ちょこんと乗ってるように見えた。

・・・月・・・

見事にまん丸な月だった。
その男の子今度は手を反し、丁度手のひらに乗るように、位置をさがす。 
見事に丁度手のひらに乗った月は、触ることさえ出来そうだ。
今度はそーっと手を握ってみた。・・・何にも触れなかった。
仕方なくもう一度手を開くと、やはりその手には、月が乗っていた。

すっかり目が覚めた様子の男の子。今度は机から椅子を引っ張り出し、窓を開けて、
ベランダに置いた。・・・少し勝ち誇った顔をしている。
自信満々に椅子に立ち上がり、手を伸ばす。・・・顔が曇った。
やはり駄目だった様だ。「そりゃそーだよ、掴まえられる訳がない。」と、
少し肩を落とし、とぼとぼ椅子をかたし、納得いかない顔で布団に戻った男の子。
それでも、これだけは決めたらしい。「今日は窓を閉めないで寝よう!!」

・・・・・あれから何十年も経った。
そんな今でも、大きな満月を見ると、つい手を伸ばしてしまう船長でした。


そんなんで今回の作品。(クリックすると拡大画像になります。)
【ラフ】
月ラフ.jpg

【全体】
月全体.jpg

【上部分】         【下部分】
月中.jpg 月下.jpg

【月部分アップ】
月あっぷ.jpg

【タイトル】
≪連作、月 “あとちょっと”≫

【制作者】
・船長Chii ・船大工Ma-Bo-

【花材/材料】
・ピンポンマム ・ススキ ・ファーガス ・ウンリュウヤナギ

【作者コメント】
届きそうで届かない感じを表すために、ヤナギではしごを作りました。
秋の感じを出すためにススキを使い、紅葉した葉で道を作り表してます。
船長は崇拝する人がいて、いつかその人にBangLassiの作品を見てもらいたいと思ってました。
この作品は、なんとその人に見てもらうことが出来て、個人的にも思い出に残る
作品になりました。


「本気で思えば、掴むことも出来るんだぜ!!」
です。

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posted by 船長Chii at 23:43| Comment(2) | TrackBack(1) | 船長と月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月06日

≪連作、月 “田舎の電灯”≫

『本日の航海先・世田谷区、奥沢・O's nest・波電・風灯』


この間、うちの船大工Ma-Bo-とシルーバー屋に、花を活けに行った帰りの話。

mtuki.jpg

「ヨシ!!取り合えず一件終った。次行こうか。」
と、車に乗り込んだ。
いつもの様にMa-Bo-運転で、車が走り出す。幾つものテナントが並ぶ道から
逃げるように、コンビニの前を左に曲がり、住宅街に入った。
この辺りは異常に一通が多い。左、左とそれを三回繰り返し、もと来た道に
戻ろうとしていた。

後ろに積んだ花たちを倒さない様に、水をこぼさない様に、慎重に少し緊張気味で、
運転するMa-Bo-。
それにひきかえ、助手席に浅く浅く座り、外の風景を楽しみ、偉そうにのんびりと、
煙を吐く船長。

その時、何気に外を見てた船長、壁に変な四角い穴が開いてるのを発見した。
「ん?? 何だあれ?」
20mぐらい先の、左にしか曲がれない突き当たり、その突き当りの壁に、
穴が開いている。
(でも、何かおかしい? 何んだ?、何が変なんだ?・・・・・・あっ色か!!)
その壁に開いている、穴の中の色が変だった。 
コンクリートの灰色だったり、土の茶色だったり、そんなんなら解る。
あの、少し高い位置にある線路を、持ち上げるようにそびえ立つコンクリートの壁。
その壁にはありえない色だった。

・・・少し光ったような色。白とも灰色ともつかぬ色。・・・

まるでその壁の向うの、まるでこの世界とは違う、別世界が見えてるのか?
それとも、何処か霧深い早朝の、別の国にでも、つながっているのか?
そんな錯覚に堕ちてしまう様な、妙にリアルな色の穴だった。

ゆっくりと、少しずつ近づいてくるその穴を、煙を吐きながらボーっと見ている船長に、
Ma-Bo-が聞く。
「ん?・・・どうしたんですか?」
「あっ・・・・あー、あれなんだと思う?」
「えっ・・・あーーーあの鏡ですか?」
「あっ。 そうか・・・・・・・鏡か・・・。」
(そうか鏡だ、確かに鏡だ。何だそうか。そうだよなー・・・。)

タタミ一畳ぐらいはありそうな、大きな鏡だった。
それが少し斜めに壁に立て掛けてあって、その傾斜が丁度良く、曇ったその日の
空を写していた。
まだ、変な感覚から抜け出せないでいる船長に、Ma-Bo-が話し出す。
「もう少し綺麗に残ってったら、何か作れそうですけどね。」
「あっ、あっ・・・そうだな。」

Ma-Bo-のその、何かに使える材料を常にを探してる感じと、戦ってる感じに、
目を覚まされる想いだった。



そんなんで今回は“船大工Ma-Bo-”の作品。(クリックすると拡大画像になります。)
【ラフ】
三日月ラフ.jpg

【全体】
三日月.jpg

【アップ】
三日月アップ.jpg

【タイトル】
≪連作、月 “田舎の電灯”≫

【制作者】
・船大工Ma-Bo-

【花材/材料】
・秋色アジサイ ・カラー(マンゴ) ・ゲイラックス ・ススキ
・アカヅル

【作者Ma-Bo-のコメント】
イメージは、田舎にあるススキ畑の上に浮かんでる月を作ってみようと思い。
少し淋しい感じを出して見たくて、三日月になりました。
三日月は、淋しくてもなんか暖かい光で照らしてくれる月なので、
メインに複色オレンジのカラーを使って見ました。
(なんか、自分の中で34%一皮むけた?)
そんな感じの作品なんで!これからの船大工の作品をチェックしてくださいな。

だそうです。


「さー行こうか。その向こう側へ!!」
です。

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posted by 船長Chii at 01:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 船長と月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月11日

≪連作、月 “あっち側こっち側”≫

『本日の航海先・世田谷区、奥沢・O's nest・波風・風月』


「色々考えたんだけど、俺にはこれしか出来無いから。」

分岐点.jpg

長い道を歩いてきた。あの道を歩いてた。
そして其処には笑顔があり、尊敬があり、初めての優しさがあった。
そして本当に沢山、甘えたし、怒ったし、泣いた。
共に同じ時間をすごし、同じ場所に座り、同じ所を見た。
永遠だと思っていたし、絶対だなんて思い込んでいた。

「それがいつからだい? あの時からかい? あそこからなのかい?」 

いつかこうなるのは、分かっていたのかも知れない。
いつしか気が付けば、自分勝手になっていた。
そして個性だと思ってた自分勝手を、許せなくなりはじめていた。
歩んでる速度が、歩む場所が、少し変わってきていた。
そして、今は向こう側を歩いてる・・・。
こっち側から見る向こう側は、少し明るくて、少し楽しそうに映る。

「そんな事無いよ。隣りの芝生は青く見えるだけ。」

そうだ。こっち側だって結構楽しいし、先のほうには明かりさえ見える。
楽な道じゃないかもしれん、それでも行くしかないんだ。
・・・だって先に明かりが見えるんだから。
こっちの道はこっち側。 あっちの道はあっち側。
もうあの分岐点には戻れねーから。

「大丈夫、風がおしてくれるから。風がつれてってくれるから。」

本当だ。一人ぼっちだと思ってたのは、間違いだった。
けして一人じゃなかった。
だから行こう。
ちょっと無理して笑って、一歩ずつ、一歩ずつ、・・・少し頑張って歩こう。

「それでもどうしても、あっちの道が憎く見えたら、ちょっとだけ止まって
泣いてごらん。」

本当は知ってる・・・・・誰も悪くない。
あっちが悪いとか、こっちが悪いとか、そう言う事じゃないんだ。
上手くは言えんけど、いつかは“ありがとう”って言いたい。
あの道とこの道が交わる時があるのなら、何年後か、何十年後か、
また季節がめぐって、もし、あっち側の道が少し近づく事があるなら。
“ありがとう”って言いたい。

「大丈夫、その時はきっと来る。だっていつでも、この月が見守ってるから。」
「薄明かりだけどこの月が、その道を照らしてあげるから。」


そんなんで今回の作品。(クリックすると拡大画像になります。)
【全体】
月道.jpg

【月部分】         【道部分】
道月上.jpg 月道下.jpg

【タイトル】
≪連作、月 “あっち側こっち側”≫

【制作者】
・船長Chii ・船大工Ma-Bo-

【花材/材料】
・カクレミノ ・ススキ ・シンフォリカルポス ・ブラックパール
・ゴールドワイヤー

【作者コメント】
月の部分をススキと、少し光るように金のワイヤーで作りました。
分岐する道部分を、カクレミノの葉で作り、白い実と黒い実で出会いと別れを
表しました。
月部分は沢山照らしてくれるように、大きめに作ってあります。

「覚悟の道には、光が射す!!」
です。


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2007年09月15日

『円月と四角窓』

070915_top.jpg

【本日の航海先】
・世田谷区奥沢、O's nest

【花材/材料】
・ウンリュウヤナギ、セッカヤナギ 、ピンポンマム 、etc
・錆びた鉄線

【参考価格】
・¥20,000〜(花材、季節、状況等によって変動します。)

【制作者】
・船長Chii

【船長コメント】
深夜になると船長の部屋の窓の真ん中に月が浮かぶんです。
今回はその窓を見てて思い浮かんだ作品です。静の円月と動の四角窓を表現してみました。
月部分をピンポンマムで作り、窓部分をヤナギなどで躍動感が出る様に制作しました。
月は好きです。不思議に月を見るとイメージが降りてきます。
そんな初秋の作品です。
“その他画像、作品への想いは→”


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posted by 船長Chii at 14:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 船長と月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月30日

『月と栗と赤実』

070930_top.jpg

【本日の航海先】
・世田谷区奥沢、O's nest

【花材/材料】
・ツルバラノミ、クリ、イナホ、etc

【サイズ】
・width 30cm〜50cm ・height 100cm〜120cm

【参考価格】
・¥20,000〜(花材、季節、状況等によって変動します。)

【制作者】
・船長Chii

【船長コメント】
今回はせっかく秋になってきたので、秋らしい作品を作ろうかなと思い制作してみました。
栗と秋色になった実のこぼれる感じと、秋の月の少し寂しい感じを表現してみました。
月部分は稲穂で作ってあります。黄金色に輝く稲穂は月のイメージに合うなと思い使って見ました。
こんな感じの作品を作ってると、お腹が空いてくるんですよね。
今夜は栗ご飯でも食べようかな?
“その他画像、作品への想いは→★


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posted by 船長Chii at 17:19| Comment(6) | TrackBack(0) | 船長と月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月08日

竹と春花

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【本日の航海先】
・千代田区飯田橋、ホテルメトロポリタン

【花材/材料】
・タケ、フリージア、スイセン、ダリア、コデマリ、カラー、ムギ、etc。

【サイズ】
・width 45cm ・height 60cm

【参考価格】
・¥25,000〜(花材、季節、状況等によって変動します。)

【制作者】
・船長Chii

【船長コメント】
今回のは二月に作った作品です。成人祝いのお花でした。
「結婚披露のパーティーのような感じで、成人の御祝いをホテルでするので、その場の雰囲気にあった感じで春らしくお願いします。あと竹を使ってくれると嬉しいです。」
とのオーダーでした。なので竹を花材として使うんじゃなく、思いきって竹をそのまま花器にしてみました。
花は結婚式のイメージで白メインの春の花を使いました。
作ってみたら、竹は成人祝いに向く花材だなと気が付きました。
船長は竹って気持ちが良くて好きです。

posted by 船長Chii at 00:15| Comment(3) | TrackBack(0) | 船長と月 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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